◆第83回日本ダービー・G1(29日・芝2400メートル、東京競馬場)
調教師の二ノ宮敬宇の下で調教を積んでいたディーマジェスティは、デビューから2戦連続で2着に敗れたが、2015年11月23日の3戦目で初勝利。上がり33秒5の末脚を繰り出し、素質の片りんをのぞかせていた。
順調かに見えた暮れのホープフルSは、直前で左後肢フレグモーネ=化膿(かのう)性疾患=のために回避。次に選んだ今年2月の共同通信杯で勝利しなければ、クラシック出走も危ぶまれた1勝馬の身だったが、この馬の才能はその壁も越えた。
クラシックへの視界が開けるとともに、生産者の服部健太郎は胸が高鳴っていた。98年に渡った修業先のアイルランドでは、競馬後進国からやってきた若者に対して、現地スタッフは見下した感情を隠そうともせず、単なる労働力として仕事では酷使された。インターネットも普及していない時代。心の支えは、家族から3か月に1度送られてくる日本の競馬雑誌だった。
その状況に変化が起きたのは99年秋。フランスで長期滞在していた二ノ宮厩舎のエルコンドルパサーが、蛯名正義を背に凱旋門賞で2着に好走。「なかなか日本もやるじゃないか」。勝ったモンジューを最後まで苦しめたレースぶりに、牧場スタッフの健太郎を見る目も変わった。
「エルコンドルパサーってすごいな。まだ会ったこともない二ノ宮先生だけど、いつか預けられるような馬をつくりたい」。
あれから17年。健太郎が生産したディーマジェスティが二ノ宮の手で着実にステップアップしている。「走る馬は変わってくるもの。エルコンドルパサーもそうだった―」。二ノ宮が引き合いに出したのは、健太郎が勇気づけられた名馬だった。(牧野 博光)=敬称略=
日本ダービー(東京優駿)予想はここの無料予想を信頼
誰でも無料でチェックできるらしい
すごい競馬が熱い